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鈴木 慎一
株式会社エム・クレド 代表取締役

価値ある開業物件を見抜くテクニック
③物件地の決め手は「薬局」にある

その物件、近くに薬局がありますか?


開業のサポートを行うなかで、薬局出店の相談を受けることがあるが、特に「開業の場所も時期も決まっているが、薬をどうするのか決まっていない」との相談は多い。特定の薬局との関係は法的には認められておらず、あとになって困るケースがあるようだ。

そもそも、医薬分業率は全国的にも6割超、首都圏を始め一部の地域においては7割以上という状況にある。そういった背景のもと、開業する医師のほとんどは「薬はアウトソースする」つまり「院外処方を選ぶ」ことが多い。そこで、今回より院外処方を選ぶ際の、開業物件探しのポイントを紹介したい。

薬局の出店もシビアになっている

まず知っておいていただきたいのは、調剤薬局の出店もクリニック開業と同じように、シビアな視点で見極められているという事実である。いまだに新規開業と同時に薬局も喜んで出店してくると思っているとしたら、大きな間違いだ。数年前は単独単科での新規開業であっても、薬局は勇んで同時出店していた。しかし、最近の薬局の出店判断は、大手チェーン薬局と言えども躊躇している。近隣の病院からの独立開業であり、患者数がおおよそ期待できる内科系の科目でない限りは、新規出店はハードルが高いと考えられているのだ。にも関わらず、「薬局は後で探して、まずは物件を契約した方がいい」と先走るコンサルタントや開業関連の業者もいる。注意してほしい。また、土地購入やハウスメーカーに多い戸建てレントタイプで開業物件地を優先して進める場合も要注意。物件地ありきで進めてしまい、調剤薬局については後回しにして、忘れてしまいがちだ。

医療モールなど、同時に複数の医療機関から処方せんを応需できるような立地であれば困難は少ないかもしれないが、多くの場合は事前のマーケティング(診療圏調査)的な分析が絶対に不可欠であろう。

近くに薬局がない物件の対応策

しかし、近くに薬局がある物件を絶対条件にしてしまうのは危険だ。物件候補数自体が絞られてしまうからである。対応・準備できる術がないわけではない。

まず、今後のことを見通して、自分の医院が「マンツーマン薬局」との連携が必須なのか、「面分業」でも構わないのかなど、さまざま想定しておくことが大切だ。最近ではドラッグストアでも処方せんを積極的に応需している。応需体制が整っていない店舗でも場合によっては改装の上、応需対応してくれるドラッグストアも多い。持ちかけてみるのもよいだろう。さらに、近くに薬局が見込めない場合、とりあえず院内処方で対応しておくのも検討したらどうだろうか。すぐには無理だとしても、ある程度の患者数を見込めるようになったら、分業する計画を立てておくと良い。薬の買い取り、機器什器の引き取り、職員も引き取ってもらうよう特定の薬局に打診し、協力を要請してみるのもひとつの手だ。きたるべきときに備えておくことが大切だと言える。

採用薬も忘れずに!

最後に、後回しになりがちなのが「採用薬」である。これは電子カルテを納入する際に影響があるので注意しておこう。採用薬リストを事前に納入業者に渡しておかないと、マザーデータから引っ張ってくる作業を医師本人が行わなくてはいけない場合がある。開院直前でのこの作業は一苦労。早めにリスト準備しておきたいものだ。

アドバイザー情報


株式会社エム・クレド 代表取締役
鈴木 慎一(スズキ シンイチ)

長年、大手医療モール開発会社で医師の開業に携わってきた経験を活かし、現在は同社で、独自のマーケティング手法を用いて医療モールの開発と医師の開業支援に従事している。また、リース会社への出向経験もあることから、資金調達にも強い。物件選定から資金調達、開業に至るまでの諸準備をオールマイティに支援し、開業の相談に応じている。

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