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大川 貴司
JPコンサルタンツ・グループ ペンデル税理士法人 メディカル事業部長

医療機器と備品類の上手な選定法

開業時における機器・備品の選定基準


クリニックを開業する際に導入する医療機器・備品は、診療科目によってばらつきはあるが、おおむね1,500万円から2,500万円前後を見込むケースが多く見受けられる。その限られた予算の中で、医療機器をどう組み合わせて導入するかという問題は、医業経営においては重要課題である。
なぜならば、診療所の医業収入は、①初診料・再診料・紹介加算、②投薬料・注射・処置、③検査料・画像診断料の3つに大別されるが、この③検査料・画像診断料は弾力性が高く、医業収入に最も影響を及ぼすからである。
基本的な医療機器選定の方法としては、①自院の診療方針・得意分野から必要不可欠な医療機器(集患)と、②地域でニーズがあり、診療報酬の高い医療機器(収入)の2本柱をまず検討し、この2つを中心に予算枠の中で最適な医療機器の導入計画を策定することが望ましい。


検査収入が多く見込める機器であっても、むやみに導入を検討するべきではなく、開業地の診療圏調査を入念に行い、地域住民の年齢・性別構成などを鑑み、当該検査の稼動予測・収入予測を試算した上で、自院が提供する医療サービスに必要か否かを検討することが肝要である。
また、MRI・CTのような高額医療機器の導入を検討している場合には、近隣の医療機関の整備状況などを把握し、既に近隣で導入されているのであれば、あえて競合することは避け、むしろ地域連携を検討するべきである。

医療機器・備品の一般的な選定基準としては、①レセプトコンピューター・電子カルテ・検査ファイリングなどのITシステム、②MRI・CT・X線装置や自動現像機(あるいはCR)といった設備に関係する機器(重量・給排水・電気容量の検証)、③心電計・超音波診断装置・内視鏡といった診断機器、④診察台・カルテ棚のような什器備品の順に検討するのが効果的である。


医療機器選定のタイミング


主要医療機器の選定のタイミングとしては、院内レイアウトを検討する前までに決定しておくと、効率的な院内設計が可能である。医療機器の組み合わせによって、必要とされるスペースや患者動線・スタッフ動線が変わってくることがその理由としてあげられる。例えば、院内IT化を検討した場合では、カルテ・検査データ・X線フイルム等の保管スペースを他の用途に有効活用することが可能となり、また導入する診断機器の内容によっては必要となる処置・検査室のスペースも異なる、といったケースがその好例である。  院内レイアウトを検討する際には、想定医療機器の重量・給排水・電気容量の検証、医療機器搬入経路の検証なども忘れてはならない。事前に導入予定のメーカーに確認しておくことが肝要である。必要に応じて、設計事務所と導入予定のメーカーでの打合せを依頼すると良いであろう。

高価な医療機器などは、個別にメーカーと交渉したほうが安く購入できる場合が多いが、比較的少額な医療機器・備品などは一社にまとめて交渉することで安価に購入できるだけでなく、忘れがちな備品に関しても漏れなく整備することができる。忘れてはならないのが、医療機器導入後にかかるランニングコストであり、消耗品・修理費用・保守費用等に関しても導入時に検討しておくべきだ。初期の値引率だけで判断することなく、アフターサービス体制や修理時の費用、代替器の有無などもあわせて検討し、医療機器の生涯コストで判断することが肝要である。