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佐久間 洋
 
株式会社リスクマネジメント・ラボラトリー エグゼクティブ・アドバイザー

異業種に学ぶ医院経営塾
(1)航空会社~患者の「真実の瞬間」とは?

経営テーマ

医療機関経営のテーマとしてよく取上げられる「集患・増患対策」。参考にしていただきたいのが、競合が激化している異業種での成功事例です。
他業種であっても、考え方や分析方法から思わぬヒントを得ることがあります。そこで、今回より異業種における集患・増患対策を紹介する連載をスタートします。第一回目は「航空会社」です。

スウェーデン、ノルウェー、デンマークで経営している北欧のスカンジナビア航空(SAS航空)。20年近く前「サービスが悪い」との評判から経営難に陥ってから、ヤン・カールソンという若い社長が就任。ある方法でこの会社を経営難から見事、救い出しました。しかも、とてもアナログな考え方とやり方で・・・。さて、その内容とはどんなものなのでしょうか?


顧客が航空会社を判断する基準とは?

航空会社各社はそれぞれに優れたサービスシステムを構築しています。しかし、顧客はそのすべてに触れるわけではありません。 チェックインカウンターでの従業員の対応、キャビンアテンダントによる機内サービス。顧客が触れるのはその程度です。
つまり、それが、航空会社全体のイメージを捉えるすべてでもあります。ほんの僅かな時間と一握りの従業員によって、顧客は企業の印象を決めてしまうのです。

 

真実の瞬間

社長のヤン・カールソン氏が提唱したのは、「企業や組織の最前線であるスタッフと顧客が接する場面こそが企業にとって最も重要な瞬間だ」ということでした。組織の印象や評価は、組織のトップではなく、最前線の方々に左右されるということです。

さらに、SAS航空の1,000万人の顧客は平均5人のSASのスタッフに接していること、その平均接触時間はたったの15秒であるという調査結果も出ました。たった15秒という短い時間で、顧客はその企業を判断しているということです。

ヤン・カールソン氏はその15秒のことを『真実の瞬間』と呼びました。企業の真実が問われる15秒。その限られた時間で顧客にとって最良の選択であったと納得させなければ・・・。そのために必要なこととして、カールソン氏は「従来のトップダウンではなく、全ての従業員がミッションを理解し、判断を下せるような権限委譲と階層構造の革命が必要である」と述べました。

※ヤン・カールソンの著作「真実の瞬間」はダイヤモンド社から1990年に出版。医院経営においてもとても参考になる本だと思います。