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鈴木 慎一
株式会社エム・クレド 代表取締役

診療圏調査の必需性と正しいデータの捉え方


如何なる業態も市場参入する際には市場規模、競合、需要ニーズなど市場分析することで参入障壁がどこにあり、市場参入の可否を判断するのは必須と言える。つまりマーケティングだ。
クリニックと言え事業であることは間違いない。しかしながら、医療業界に至ってはこのマーケティング思考が軽んじられている。

つまり医療機関は、まずは医療機関(医師)ありというプロダクトアウト思考が強く、市場ニーズを重視したマーケットイン思考が乏しいのだ。 特に都内でのクリニック開業(経営)はこのマーケットイン思考を軽んじるあまり、閉院に追い込まれるまではいかなくとも、生活費を確保する為に診療時間外には当直やバイトを余儀なくされる医師も少なくないと聞く。

開業時におけるマーケットイン思考とは?

 

開業物件を選定する際には、必ずと言って良いほど診療圏調査なる資料を確認するであろう。診療圏調査とは、公的に公表されているデータを用いて、予測値を図る算定式である。

【人口×受療率÷競合シェア=外来予測数

しかしだ、重要なのは導き出された結果数字ではないと筆者は断言する。 この算式から導き出された結果は、あくまでも参考として捉える必要がある。
何故か、基礎要因となる人口数や需要率などの設定次第で結果数値が変化してしまうからだ。言い換えれば、設定次第で良くも悪くもさじ加減できてしまうのだ。

 

何をもって市場評価すべきだろうか

それは、定量的な情報を優先するのではなく、定性的な情報で秤にかけるべきである。
では定性的な情報とは?
最重要視すべきこと、それは競合の情報だ。 データでは存在していても、実際には開店休業状態のクリニックもある。内科・小児科・皮膚科と標榜していた場合、果たして小児科や皮膚科の専門医が診療しているのかどうか?整形外科と標榜があってもリハビリ施設として充足伴っていないクリニックもある。 ここまで詳細な情報は、最終的な決断を下す上での判断材料となる。

安易な決断は、今は命とりにもなる

「決断」をすることは勇気も覚悟も必要だ。 だからこそ、目を凝らすべき事は、予測された数値の良し悪しだけで判断してはならない。
自身の提供できるサービスに見合うニーズがどれだけあり、そのニーズを自院が存在することによるウォンツに変えられるだけの戦略をイメージ化できるかどうか。開業を考えている医師は、マーケットイン思考を重要視すべきなのだ。

マーケットイン思考は、自身の提供できる医療サービスを市場ニーズと、どうマッチングできるかどうかである。競合院が多くても、市場を知ることで自院をどのように差別化し、かつ戦略的に対抗できるかどうか、はたまた共存共生することも考えられる。だからこそ、マーケットイン思考が必要なのだ。もちろん開業時だけにあらず、開院後もこの思考を持ち続けることも言うまではない。これから開業しようとする医師にとって、緻密な診療圏調査は開業への設計図にもなる。


アドバイザー情報


株式会社エム・クレド 代表取締役
鈴木 慎一(スズキ シンイチ)

長年、大手医療モール開発会社で医師の開業に携わってきた経験を活かし、現在は同社で、独自のマーケティング手法を用いて医療モールの開発と医師の開業支援に従事している。また、リース会社への出向経験もあることから、資金調達にも強い。物件選定から資金調達、開業に至るまでの諸準備をオールマイティに支援し、開業の相談に応じている。

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