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佐久間 洋
 
株式会社リスクマネジメント・ラボラトリー エグゼクティブ・アドバイザー

A医院vsB医院 成功するのはどっち?
(2)ターゲットを明確にした「診療時間」の差

患者の満足度をあげる「診療時間」とは

同じ科目、同じ地区など、似た条件を持つ医院でも成功している医院とそうでない医院があります。その違いはどこにあるのか、全国津々浦々の医院を見てきた経験から、その違いを紹介する新連載です。第2回は「診療時間」の二つの事例について見ていきます。

いきなりですが、あなたの医院では「診療時間」はどのように設定されましたか?(またはどう設定するおつもりですか?)

一般的には、午前は9時~12時、午後は14時~18時といった設定が多いかと思います。患者さんもその認識でしょう。ただし、地域の患者さんの実態やニーズによってはその時間帯では不十分であることもあります。患者満足度アップや患者さん獲得に成功するために、診療時間をどう考えるかを紹介していきます。


ビジネスマンが対象となる医院の診療時間は?

東京で歯科クリニックを開業されている先生。開業に備えて診療圏調査を入念に行い、十分な患者さんが予想される街に開業を決めました。しかし、いざ開院してみると、患者さんが診療圏調査で見込めると判断した人数に達さない日々が続いたそうです。

院長は考えました。そして、ある発見をします。
この地域はアパートやワンルームマンションが多い。 住人の多くが下宿をしている学生か、一人住まいのビジネスマン・OLだ。 つまり、うちの医院が開いている昼の時間にはこの街にいないのだ!

その発見から、地域に住んでいる患者さんの都合に出来るかぎりあわせた診療時間を設定することに決めました。
院長の判断はどうだったのでしょうか。変更前の診療時間と同じ他のクリニックと比較してみましょう。

●A歯科クリニック(よくあるクリニック)
診療時間は一般的な9時~18時
(※周辺の歯科クリニックもほぼ同様の診療時間で診療)

●B歯科医院(対象者の日中の不在に気付いてからのクリニック)
思い切って、14時~23時に変更

それでどういう差が生じたと思いますか?

あるサラリーマンの人の立場になって考えてみましょう。
A歯科クリニック(診療時間が通常通りのクリニック)であれば、日中に予約していても急な仕事が入ってしまうとなかなか調整ができず、予約変更を繰り返すことになります。数度の変更は気が引けるため、だんだんとクリニックに遠のき、その間もどんどん治療計画が遅れてしまいます。ですから、職場近くの医療機関への予約も考えものです。

一方、B歯科クリニック(診療時間を変更してからのクリニック)ならば、会社を終わって自宅に戻ってきてから来院してもらえます。仕事が終わってからの時間で予約でき、時間の幅も広いため、残業のある日でも治療を受けられるので、安心感があります。

さらには、このクリニックはその街を通る私鉄に広告を出しました。すると、私鉄を利用しているOLやビジネスマンまでもが患者になったと言います。それが、安定経営に繋がり、今や、6つのユニットがいつも埋まっているほど繁盛されていました。

「診療時間を極端に変更してから大成功した」と先生も笑顔で語っていました。

 

 

診療時間の変更をどう伝えるか?

次は、北関東の小都市で内科・小児科を標榜しているクリニック(A医院)。新興住宅地の近くでの開業で、確かに繁盛はしました。しかし、ひとつだけ問題がありました。近くに小児科標榜のクリニックがなく、小児科の受診者が極端に多かったのです。
経営的には全く問題はありません。しかし、その先生は内科出身で、将来の経営の安定化を狙い、「内科の患者さんを増やしておきたい」と考えました。

そして、すでにきている小児科の患者さんのお父さんお母さんをターゲットにしようと考えました。その親世代をターゲットにするために、診療のスタートを1時間早く、終了も1時間遅くしました。

ここまではよくあること。そのあとの行動に、成功する医院とそうでない医院の分かれ道があります。診療時間の変更をどう告知したか、です。

●A医院(事例の医院)
院内の掲示板やHPに
『お仕事をお持ちのお母さんも、お忙しいお父さんも、出勤前に寄れるよう 少し早めに、会社が終わってからも受診できるよう少し遅くまで、 診療時間を変更しました。』
と掲載する。

●B医院(よくある医院)
院内の掲示板やHPに
『診療時間を8時~19時半までに変更しました。』
とだけ掲載する。

はたして、A医院とB医院、どちらに心が惹かれますか?

当然、Aの医院ですよね。その医院が自分たち(親世代)を思って変更してくれたことが伝わってくるからです。その医院の心遣いを感じ、患者さんは心を掴まれるでしょう。このようにして、子供の親たちをターゲットにしたことをきっかけに、どんどんと内科の受診者を増やすことに成功されたということでした。 既に来院されている患者さんの状況や特徴、ニーズをしっかりと見据えた成功事例です。

診療時間を変えれば患者数が増える。そんな単純なものではありません。成功の分かれ道を見極めた一工夫が大切なのです。

次回はクリニックの「広報ツール」の差について紹介していきます。

 

アドバイザー情報


株式会社リスクマネジメント・ラボラトリー
佐久間 洋(サクマ ヒロシ)

(株)アール・エー・システムズ(現シスメックスRA(株))ソニー生命保険(株)を経て、株式会社リスクマネジメント・ラボラトリーの事業拡大に参画。大阪支店の立ち上げに従事し、現在は同社の首都圏担当。セミナー活動も数多く行っており、医師協同組合向け医業経営セミナー、大手損害保険会社社員研修など多岐にわたる。
社団法人日本医業経営コンサルタント協会 認定登録医業経営コンサルタント(No.6466)。

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