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佐久間 洋
 
株式会社リスクマネジメント・ラボラトリー エグゼクティブ・アドバイザー

A医院vsB医院 成功するのはどっち?
(1)情報提供に最適な「待合室」の差

同じ条件でも成功する医院がある―事例に学ぶその差とは?

同じ科目、同じ地区など、似た条件を持つ医院でも成功している医院とそうでない医院があります。その違いはどこにあるのか、全国津々浦々の医院を見てきた経験から、その違いを紹介する新連載を始めます。

第1回は、医院の中でも患者さんが最も長くいる場所「待合室」の事例で学んでいきましょう。

 

 

胃の内視鏡検査ができる二つの内科クリニックで検証

中部地方のとある県のこと。県南で開業された内科クリニックのAと県北で開業された内科クリニックのBは、院長がともに病院勤務時代に胃の内視鏡検査が得意だったと言います。二医院とも、内視鏡検査や胃腸科を標榜しておらず、患者さんからは「一般内科」に見えるクリニックとしてスタートしました。

ただし、内視鏡の件数は、Aが年間20例くらい、Bは200例近くされていると聞きました。「街のかかりつけ医」というコンセプトも同じにもかかわらず、件数に10倍もの差が生じている―。この差は果たしてどこにあるのでしょうか? 

20例程度というAの先生に話を聞いてみると、患者さんに内視鏡検査を勧めても、断られたり躊躇されたりする方が多かったそうです。その結果、だんだんと先生自身も患者さんに勧めにくくなってしまったとのこと。一方、200例ほどというBの先生に聞いてみると、積極的に検査を勧め、誰一人断る患者さんはいないと言うのです。


つい見てしまう「電車の中吊り広告」と同じ心理

すこし話は変わりますが、私は芸能人の誰と誰が付き合って、誰と誰が別れたかを知っています。別段、週刊誌を読んでいなくとも、移動中に、電車の中吊り広告を見ているからです。地下鉄にわずか10分乗るだけでも、周りを見回して読んで知ってしまっているのです。

これは医院の「待合室」でも同様のことが言えます。患者は待ち時間に、待合室にある情報をはからずも見てくれているのです。

内視鏡検査の事例が多いBのクリニックは、待合室に入った途端にここの先生が内視鏡検査の得意な先生であるとすぐわかります。まず、壁には、内視鏡検査についての説明の掲示物。検査でどんなことがわかるのか、早期発見すればどういうメリットがあるのか、逆に内視鏡検査が苦手とすることはどんなことなのかなどが上手に表現されています。さらに、掲示物と同様の写真や説明をきれいにまとめたファイルブックが待合室に2冊。 これで、自然と患者さんは待合室で胃の内視鏡検査の情報を読んでしまうのです。その上で、診療室に入り、先生から勧められれば、多くの患者さんが「受けます」と答えてくれる。その心理、わかるような気がしませんか?

 

つい見てしまう「電車の中吊り広告」と同じ心理

ドクターと患者さんのコミュニケーションが大切であるのは当然ですが、それは必ずしも患者と先生間のコミュニケーションだけではありません。クリニック全体で患者さんとどうコミュニケーションするか、そこまで視点を広げてみましょう。先生が全員の患者さんとそれぞれ20分も30分も話すことは現実的ではありません。患者さんとの総合的なコミュニケーションを違う方法で深める必要があります。そこで、患者さんが最も長く過ごす場所「待合室」を活用しない手はありません。

では具体的にどうしたらいいでしょうか?

たとえば、待合室には製薬会社のポスターや、県や市の健診のポスターが貼ってありますよね。あなたの医院にもあるかもしれません。そのポスター、内科、整形外科、眼科、耳鼻咽喉科、皮膚科、歯科など複数のクリニックに通っている患者にとっては「ここのクリニックにも同じポスターを掲げてある」と感じるだけでしょう。
そこで、医院の印象を残すには、そのポスターをなぜ掲げているのか、どうしてこの内容がお勧めなのかを追記してはどうでしょう? それもクリニックと患者さんの立派なコミュニケーションです。どこのクリニックにも存在する「待合室」。この場所の活かし方をぜひ考えてみてください。

次回は「診療時間」の差について紹介していきます。

 

アドバイザー情報


株式会社リスクマネジメント・ラボラトリー
佐久間 洋(サクマ ヒロシ)

(株)アール・エー・システムズ(現シスメックスRA(株))ソニー生命保険(株)を経て、株式会社リスクマネジメント・ラボラトリーの事業拡大に参画。大阪支店の立ち上げに従事し、現在は同社の首都圏担当。セミナー活動も数多く行っており、医師協同組合向け医業経営セミナー、大手損害保険会社社員研修など多岐にわたる。
社団法人日本医業経営コンサルタント協会 認定登録医業経営コンサルタント(No.6466)。

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