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高橋 邦光
株式会社ラカリテ 代表取締役

クリニック内装費削減のキホン
(6)内装前に考えてほしい! ランニングコスト

忘れてはならない「ランニングコスト」の削減

過去5回の連載で、クリニック開業にかかるコストダウンの具体的な方法や考え方について紹介してきた。今回は少し内容を変えてお話ししたい。

クリニックの内装を行う上で、坪単価でコンペを行い、単価を下げることができたという話も聞くこともしばしばある。しかし価格が安くなった分、きちんとお得になっているのだろうか?

実はそうとも限らないのが現状である。
今回はランニングコストを考えた内装について、その考え方を伝授したい。


平面プランは「機能性」で考えよ!

たとえば、こんなことはないだろうか?

 「1人当たりの診察時間が長くなってしまっている」
 「スタッフの人員を余計に増やさないと診療がスムーズでない」
 「患者さんを必要以上に長く待たせているようだ」
 「患者数はさほど多くないのに妙に忙しい」
 「なかなか経営が軌道に乗らない」
 「スタッフやドクターの人間関係がぎくしゃくしてきた」

これらの状態に陥っている理由に、平面プランがクリニックとして機能的でない可能性があげられる。
内装において、ドクターが第一に確認する「平面プラン」。いくら安価で内装を仕上げても、この平面プランが機能的でないとあらゆるトラブルに見舞われ、1年もたたないうちにコストダウン分も無駄になってしまうだろう。あなたの医院はどうだろうか?

実際に、開業後数年で改修したいといわれる医院も過去数例あった。このように結局は高くついてしまう事態を避けるためにも、デザイン性や金額だけにとらわれず、あらかじめ機能性を考えた平面プランを選択しよう。

安い金額で内装が出来上がるということは、材料や施工方法に差があるということだ。数年もたたないうちに、あちこちが痛んできたというのでは困るだろう。目先のことにとらわれず、将来的にみてどうなのか、広い視野で検討をしてほしい。

 

 

照明と空調設備のコスト削減方法

もうひとつの懸念事項として照明設備や空調設備があげられる。詳しく見ていこう。

【照明設備】
通常のコストの面で考えると、蛍光灯は普通の白熱電球よりも電気代が安い。ただし、すべての電気が蛍光灯でいいとも言いがたい。

特にクリニックでは照明器具にもさまざまある。ほとんどの時間点灯させている場所(待合・診察・処置など)は蛍光灯にしておくといいだろうが、頻繁に入切する場所(トイレなど)などではスイッチを入れた時点で瞬時に点灯させたいので、白熱球のほうが優れていることもある。(ただし、白熱球は頻繁に球が切れるので取替頻度が高くなる)

【空調設備】
コストを考えて、型落ちエアコン(旧式の製品)や能力の劣るエアコン(10畳の部屋に6畳用エアコンを設置など)を使う業者もいる。ただし、冷暖能力が低くなり、常に運転状態にしなくてはならないことになりかねない。結局、電気代がはねあがるケースもある。
また、エアコンに負荷がかかり、壊れやすくなるという弊害もある。長い目で見れば、コストがあがることもある。

 

 

結果的に高い買い物になったと後悔しないために…

開業前に、開院後の細かい部分にまで気を使い、設計を行えるかどうか。そこが、長期的にコストを抑えられるかどうかの分かれ道だ。

開業時に内装のコストダウンを実現したい気持ちもわかる。他医院との差別化のため、競合医院よりもデザイン性で勝負したいというニーズもわかる。しかし、開院後数年で「高い買い物になった」と気付くのは目に見えている。根本的な部分をきっちりと抑えたうえで内装プランを進めていこう。

 

 

アドバイザー情報


 
株式会社ラカリテ 代表取締役
高橋 邦光(タカハシ クニミツ)

英国ニューカッスル大学 経営学部卒業後、中国人民大学に留学し、平成13年10月に株式会社リチェルカーレを設立。
医療施設に特化した設計事務所、医療施設の建築設計監理、内装設計施工を行っており、最近では病院の放射線治療施設の設計施工も数多く手がけている。その後、2016年に株式会社ラカリテを設立。

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