Home>>【開業前に】広告・PR>>患者のニーズを汲み取る 診療科目別『戦略的広告手法』
井戸 薫
中電興業株式会社 デザイン室 チーフディレクター

患者のニーズを汲み取る 診療科目別『戦略的広告手法』

診療科目によって広告を出す範囲・媒体を選択する

一般的に医業と言っても、そこには極めて明瞭に専門分野としての区分があり、診療科名として表わされています。また、患者さんのニーズや立場などによって、診療科目ごとにそれぞれ異なった特長が見られるのも事実だと思われます。
したがって広告については、診療科目ごとに違う患者さんのニーズ、期待感をどのように情報として発信するのか、あるいは情報のどの点を強調するかなどについて、広告のデザインは当然として、広告媒体の選択、活用のあり方などを戦略的に考え、まとめることが重要ではないでしょうか。

たとえば、皮膚科では患者さんによって特有な症状の差があるようで、患者さんは医師との間に強い信頼関係が築けるかどうかを求められているといわれています。ですから、一旦信頼関係ができれば、患者さんは相当離れた場所でも、通うことに抵抗が少ないようであり、患者さん自体も、そうした意識で信頼できる医師を探しているわけです。

一方で内科や小児科などでは、ある一定の信頼性は当然として、自宅から比較的近い医院(病院…以下同様)を選ぶことが多くなると思います。 とくに乳児・小児は突然の発熱など緊急の対応を要する可能性があるため、直ぐ診てもらえるという安心感が必要のようです。
広告宣伝では、こうした診療科目による特長を認識し、医院の立地条件(都会・郊外・住宅地域など)に配慮しながら広告媒体の選択・活用、そしてデザイン表現をまとめることが大切だと思います。


 

診療科目で見る広告手法

 

今回は3つの診療科目を例にとって具体的な広告手法を紹介します。

皮膚科の場合

一定の人口が集まった地域や、集客力ある量販店周辺など、相当に離れた場所へも屋外広告(電柱広告・野立て広告)を掲出することが考えられます。そして広告宣伝と道案内を兼ねたデザイン表現で、医院まで着実に誘導できるよう掲出場所等プランニングします。
医院が都心にある場合は、当然バスや地下鉄、電車などの公共交通網に狙いを絞って広告(駅前の野立て広告・駅広告・車内広告など)を出すことも考えられます。

ある医院さんでは、屋外広告(電柱広告・野立て広告)を掲出した場所と、その周辺地域から来院する患者さん数をデータとしてまとめ、その広告効果を確かめつつ新たな広告掲出場所の選択や、逆に撤退すべき場所を検討するなど、戦略的な広告掲出を行っているとお聞きしました。
この点、屋外広告はデータを集積し易い広告媒体であり、きめ細かい戦略を立てるのに適しているように思われます。

内科・小児科の場合
地域の特性もあり、新興住宅地や住民移動の多い地域では、地域を占有するように電柱広告を掲出することで、高い広告効果を維持されている医院もありますが、基本的には地域密着型の医療をどのように展開するのかなど、医療へのポリシーや医師の人格・キャラクターなどが、日頃から自然と地域住民へ浸透して伝わる配慮・工夫が重要ではないでしょうか。

その意味で地域内に出す屋外広告(電柱広告・野立て広告)や地域情報誌などへの広告は、患者目線に立ち信頼関係を醸成する表現でまとめるべきであり、待合室やそこで発信される情報表現などにもきめ細かい配慮が求められると思います。
また、電柱広告は小面積のためメッセージ性までは表現しづらい反面、一過性の広告とは違って道案内や、電話帳代わりとして気軽に活用できる有用な広告媒体ですから、やや離れた地域の産科医院、幼稚園、小学校の校門付近などへの掲出も効果的だと思われます。

歯科の場合
また、昨今増加傾向にあるとされている歯科医については、医院の立地にもよりますが、患者さんは治療を受けるためのアクセスや、時間帯に縛られる要素が高く、いわゆるテリトリーとされる地域が意外と複雑で広範囲にわたる場合もあります。
実際、ある歯科医院が、約3Km離れたショッピングモール付近に電柱広告を掲出したところ、想像外の地域からの来院患者が増えたといった話もあります。
高齢者以外であれは、日常生活の中で無理の無い時間帯を、自由に選択したいとする気持ちを考えた時、比較的離れた地域でもショッピングセンター、各種学校付近、公共交通機関への広告など、様々な場所へ広告を出すことも効果的だと考えられると思います。


 

看板などのリアル広告とHPとのメディアミックス

 

住民移動の少ない地域であれば、長年の信頼関係が維持されると思いますが、競争が激しくなりつつある歯科医院に限らず、近年はどの医業でも専門化、細分化傾向にあり、患者さんも自分との相性に敏感となってきています。
そのため広告では各医院の専門性や特長、イメージを大切にした広告表現・デザインに心がけ、他医院との差別化・区別化に配慮する時代になっているように思います。
その意味でも、目立てば良い広告から、地域景観に配慮しつつ、医業としての品位や理念が伝わるような広告を意識すべきではないでしょうか。

そして、どの診療科目にも共通することとして、医師の医療に対する姿勢や考え方をきちんと伝えるには、やはりインターネット(HP)を活用することが適切です。HPの場合は検索エンジンへの配慮(検索数の多い方が上位掲出されるなど様々な要素がある)が重要であるため、専門家のアドバイスを得ながら、電柱広告や野立て広告とのコラボレーションなど、アクセスする機会を増やす工夫も大切だと思います。


 

アドバイザー情報


中電興業株式会社 デザイン室 チーフディレクター
井戸 薫(イド カオル)

愛知県立芸術大学卒業後、各種メーカー等に勤務し、商品開発やアドバタイジングなどデザインの分野一途で従事。