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患者&スタッフをケアする 医院環境での音楽活用術
(4)スタッフのケアにも活用できる音楽

[2012.10.17]

和合治久先生プロフィール
埼玉医科大学 保健医療学部 教授。心のケアや病気の予防・改善のため、音楽の力を用いる「音楽療法」研究の第一人者。特にモーツァルト音楽療法の研究に注力し、その成果を音楽CDの監修やコンサートの企画、講演会などで積極的に活用している。埼玉医科大学では予防医学としての医療を学ぶ健康医療科学科の学生への教育に学科長として尽力している。

沖秀史氏プロフィール
㈱USEN 放送企画本部 本部長。関西大学卒業後、株式会社USENに入社。CM制作ディレクター、洋楽、邦楽番組制作ディレクターを経て、現在USEN音楽放送の番組編成と制作を統括。自社の音楽放送のみならず様々な媒体で、アーティストが創り出す素晴らしい音楽が持つ奥深さを丁寧に紹介していくことを使命として、日々の仕事に取り組んでいる。
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スタッフの心のケアにも有効なBGM

沖さん
一方視点を変えて、「働く職場」としての医院を見た時に、医院で働く方々への音楽でのケアというのがありますよね。

和合先生
それも今はとても大切ですね。医院だけではなくて、介護施設や老人施設は特にそうです。
スタッフが非常に過密な労働を強いられていて、様々なストレスを抱えて日々生活をしています。仕事が粗くなったり、言葉が汚くなったり、いろいろな負の側面が出てきてしまうことも避けられない場合もあるでしょう。だから、スタッフの心身のストレス状態をBGMによってある程度緩和してあげるということも、音楽の大きな役割になると思います。そういったことで結果的にスタッフのミスを減らして、治療効果を上げられればいいですね。

沖さん
実際に限られた空間の中でいろいろな人を癒していこうとすると大変ですよね。

和合先生
待合室は患者さんだけだったけれども、治療室にはスタッフがいる。看護師などの医療従事者がいて、その人たちのケアも必要ですね。
医院でスタッフが患者さんと向かい合った時に、穏やかに接してあげられるかどうか。患者さんがイライラしていたり、痛みが伴ってどうしようもないような時に、スタッフの心が荒れてしまっていては困る訳ですよね。スタッフへのケアの有効性はそこにあります。患者さんに影響が出てしまうのです。診療室では集中して患者さんを診ることができるという精神状態と生理的な状況がなくては困りますから。

 

その音楽は誰のためにあるのか?

和合先生
それから、音楽は人と人とのコミュニケーションを促してくれます。たとえば、私と学生との間で、学生の好きな曲を流すことで仲良くなるという方法がある。相手に視点を合わせるのです。

沖さん
開業医の方で言えば、そこで働くスタッフとのコミュニケーションのために、みんなが好きな音楽を題材に語りかけをするといいということですよね?

和合先生
意思疎通を図るためにはとても重要だと思います。若いスタッフに合わせたほうがいいです。「俺に合わせろ」とするのはだめです。若い人に今何を聞いているの?と聞いて、それを流してあげればいい。「主人公は誰なのか」という話になる。

沖さん
院長は、院内をいかに和気藹々としていくのかという別の課題もあるのですね。

和合先生
そうですよね、チーム医療ということがある。そこでコミュニケーションが途絶えてしまってはだめですよね。

沖さん
それは先生が「これ好きだぞ、これ聞け」というような、上から目線ではないほうがいいですね。

和合先生
いろいろ使い分けたほうがいいですね。音楽はジャンルが広いですからね。本当に広いから。