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高橋 邦光
株式会社ラカリテ 代表取締役

クリニック内装費削減のキホン
(3)誰の負担? 防災設備工事のコスト

開業前に、消防署の検査が必須

クリニックを開業する前に、消防署に書類を提出し、内装工事終了時に検査を受けなくてはいけない。検査で問題ありと判断されないように、事前協議及び防災設備計画をしっかり立てる必要がある。

消防署による確認事項は下記の通りだ。

□自動火災報知機(ビルの規模により設置義務が生じる)
□スプリンクラー設備(同上)
□誘導灯
□消火器の本数・設置位置
□クロス・カーテン・カーペットなどが不燃・準不燃・防炎仕様となっているか

これらの項目はすべての地域や担当官で共通しているわけではない。見解に差があるので、事前協議時によく打ち合わせをしておこう。


開業形態別の問題と解決法

防災設備に関しては、注意点が開業形態によって異なる。それぞれがどの程度のコストがかかるのかについても、事前に知っておくとよいだろう。

【テナントに入居する場合】
既に煙感知器が数箇所に設置されている場合は注意が必要だ。間仕切り壁のない空間分しか警戒できない最低限レベルのものであると、間仕切り壁で部屋を細かく仕切らなくてはいけないクリニックの環境に向かない場合があり、既存煙感知器の移設・増設が必要となる。
コスト:標準のクリニックの場合、工事金額は30-50万ほど

【大型商業ビルに入居する場合】
「スプリンクラー設備」や「非常放送設備」が設置済みではあるものの、大幅な防災設備工事の実施が必要となる。
コスト:工事金額は100-300万円ほど

さらに、テナント工事は工事区分の仕様で内装工事費に差が出る。大型商業ビルでの防災設備は「B工事」の区分で、コストはクリニックで負担するが、施工はビル側指定業社となる場合がほとんどである。クリニックの内装工事業者とは別の指定業社のため、通常よりコストが大幅に高くなってしまう場合がある。

工事の仕様の種類
●A工事:
ビル本体の工事でビルオーナーが負担し、施工する工事。
コストはビルオーナーが負担。

例/共用の施設・通路等(メーター迄、または店舗区画迄)等の工事

●B工事:
テナントが決まってから、テナント(クリニック)の要望によりビルオーナーが行う工事。
コストはテナントオーナーが負担。主に、ビル全体の施設・安全性・工程に影響を与える。

例/分電盤、給排水工事、防水工事、厨房給排気工事・防災・空調設備等のA工事の追加変更工事

●C工事:
テナントオーナーがビルオーナー承認の基に施工する工事です。
コストはテナントオーナーが負担。

例/店舗内内装工事、什器備品、照明器具、電話工事等

【大型商業施設ではないが建物用途が事務所となっている場合】
もともと最小限の消防設備しかない施設の場合、クリニックに不特定多数の人間の出入りがあると、消防法上で自動火災報知機の設置が義務つけられるケースがある。出入りがあるのがクリニック内だけでも、その建物全体に設置義務が生じてしまうのが問題だ。そのときの設置コストを負担するのはオーナーか入居者か、それとも折半かについて話し合う必要も出てくるだろう。
コスト:100万単位

 

想定外のコストを生じさせないために

入居前に消防設備のチェックは念入りにしよう。細かい検討が必要となる。この点を怠るとあとで想定外のコスト負担となってしまう。不具合が発生しないとも限らない。
非常時には大きな責任問題となるので、細心の注意を払って計画を進めておこう。

 

 

アドバイザー情報


 
株式会社ラカリテ 代表取締役
高橋 邦光(タカハシ クニミツ)

英国ニューカッスル大学 経営学部卒業後、中国人民大学に留学し、平成13年10月に株式会社リチェルカーレを設立。
医療施設に特化した設計事務所、医療施設の建築設計監理、内装設計施工を行っており、最近では病院の放射線治療施設の設計施工も数多く手がけている。その後、2016年に株式会社ラカリテを設立。

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