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下吹越 一孝
JPコンサルタンツ・グループ ペンデル税理士法人 代表社員

新しい医療法人の設立と運営の実務
(2)医療法人制度の種類と組織の仕組み

社団と財団の違い

医療法人は、大きく分けて医療法人社団と医療法人財団の2種類があり、このうち医療法人社団が医療法人全体の99%以上(平成23年3月末現在)を占めています。医療法人社団と医療法人財団の違いは、おおむね次のとおりです。

①医療法人社団
複数の人が集まって設立される法人であり、設立のため預金等を拠出するものである。(第5次医療法改正により平成19年4月1日以降、出資持分の定めのある医療法人は設立できない。)医療法人が解散したときは、医療法及び定款に定める方法により残余財産を処分することになる。

②医療法人財団
個人又は法人が無償で寄付する財産に基づいて設立される法人である。医療法人が解散したときは、医療法及び寄付行為に定める方法により残余財産を処分することになる。


 

医療法人の類型

第5次医療法改正以降、医療法人の類型は次のとおりです。
①社会医療法人
社会医療法人とは、非営利性と公益性が要求される医療法人であり、地域の医療計画に沿って救急医療等確保事業を行うため地域医療の中核を担うものである。社会医療法人は基金制度を採用することはできないが、社員総会の決議又は寄附行為への記載により社会医療法人債の発行、募集が可能である。

②特定医療法人
特定医療法人とは、租税特別措置法に基づく医療法人で、その事業が医療の普及及び向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与し、かつ、公的に運営されていることにつき、国税庁長官の承認を受けた医療法人である。
特定医療法人として承認されることにより、法人税において22%の軽減税率(通常は30%)が適用される。
※平成24年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する事業年度については、19%の軽減税率(通常は25.5%)が適用

③基金拠出型医療法人
第5次医療法改正以降、新しく設立される社団医療法人は非営利性の徹底にともない、出資持分の定めのない医療法人しか設立できなくなった。持分の定めのない社団医療法人は選択により基金制度を採用することが可能になった。
基金とは、持分の定めのない社団医療法人に拠出された金銭その他の財産であって、当該医療法人が拠出者に対して定款の定めるところに従い返還義務を負うものであり、剰余金の分配を目的としないという医療法人の基本的性格を維持しつつ、その活動原資となる資金を調達し、その財産的基礎の維持を図るための制度である。現在、いわゆる一人医師医療法人として設立される医療法人の大部分は、この基金拠出型医療法人に該当する。

④経過措置型医療法人
経過措置型医療法人とは、第5次医療法改正前に設立された持分のある社団医療法人のことであり、社員の退社時や法人の解散時には出資者に対し出資持分に応じた払戻請求権が発生する法人である。現在はこの持分の定めのある医療法人を設立することはできない。
経過措置型医療法人が存続できる期間について、厚生労働省は具体的な時期を明示していないのが現状である。非営利性の徹底のため、いずれは廃止されるとも言われているが、財産権の問題、医療法人全体の90%以上(平成23年3月末現在)を経過措置型医療法人が占めるという現状を考えると半永久的に存続し続けるという見方が大勢である。

⑤出資額限度法人
出資額限度法人とは、上記経過措置型医療法人のうち出資持分の払戻請求権等について、出資額を限度とすることが定款に規定されている法人のことである。

※特別医療法人:平成24年3月31日をもって廃止

 




 

医療法人の組織(社団医療法人の場合)

社団医療法人は社員によって構成されます。事業計画、収支予算・決算、定款の変更など重要事項の決定には法人の最高意思決定機関である社員総会での承認(議決)が必要となります。 また、法人の役員として、執行機関である理事(原則3人以上)と監査機関である監事(1人以上)を置かなければいけません。
なお、監事は法人の監査機関であるため当該法人の理事や職員との兼務は認められません。医療法人の役員に就任するためには医療法第46条の2第2項の欠格事由に該当しないことが条件となります。

①社員
社員は、原則として3人以上必要であり、拠出者は一般的に社員となるが拠出者以外の個人も社員となることができる。社員とは、株式会社の株主に近いものであり従業員ではない。なお、社員は自然人に限られ医療法人や株式会社等は社員になることができない。

②理事
理事は、原則として3人以上置かなければならない。なお、医療法人が開設する診療所等の管理者のすべてを理事に加えなければならない。
理事は法人の事務を執行する。したがって未成年者が役員に就任することは適当でない。また、医療法人と取引関係にある営利法人の役員が医療法人の役員に就任することは、非営利性という観点から認められない。

③理事長
理事長は、医師又は歯科医師である理事の中から互選し、理事長のみが医療法人を代表する。

④監事
監事は、1人以上置かなければならず、次の職務を行う。
a)医療法人の業務を監査すること。
b)医療法人の財産の状況を監査すること。
c)医療法人の業務又は財産の状況について、毎会計年度、監査報告書を作成し、当該会計年度終了後3月以内に社員総会又は理事に提出すること。
d)a又はbによる監査の結果、医療法人の業務又は財産に関し不正の行為又は法令若しくはこの定款に違反する重大な事実があることを発見したときは、これを都道府県知事(厚生局長)又は社員総会に報告すること。
e)dの報告をするために必要があるときは、社員総会を招集すること。
f)医療法人の業務又は財産の状況について、理事に対して意見を述べること。

したがって次のような者は監事に就任することはできない。

ⅰ)医療法人の理事・従業員
ⅱ)医療法人の理事(理事長を含む)の親族
ⅲ)医療法人に拠出している社員
ⅳ)医療法人と取引関係・顧問関係にある個人、法人の従業員
(例)医療法人の会計・税務に関与している税理士、税理士事務所等の従業員など


 

アドバイザー情報


JPコンサルタンツ・グループ ペンデル税理士法人 代表社員
下吹越 一孝(シモヒゴシ カズタカ)

JPコンサルタンツ・グループ(本部:千代田区)は、先進会計事務所が経営連合化の下に専門力を結集させた専門家集団です。その中核メンバーであるペンデル税理士法人(新宿区)の代表社員を務め、行動派コンサルタンツとして、実務対応はもとより、執筆・講演活動なども精力的にこなしています。特に医療分野においてはメディカル事業部の専門スタッフを擁し、新規開業から増患増益・労務管理・医業承継に至るまで業界に精通したアドバイスには定評があります。

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