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佐久間 洋
 
株式会社リスクマネジメント・ラボラトリー エグゼクティブ・アドバイザー

医業経営コンサルが教えるドクターのための節税講座
(2)開業準備期間中のコスト管理法

費用のかかる開業時のコストを考える

第二回は「開業準備期間中の費用の処理」についてです。
診療候補地を見に行ったりと何かと費用がかかる開業時。準備のときからきちんとした処理をしたいものですね。 既にご開業の先生も、開業時に税理士からアドバイスを受けた記憶がない先生は顧問税理士のチェックを受けるといいでしょう。

 

 

開業費の定義を知っていますか?

事業を開始するまでの間に開業準備のために支出した費用のことで、例えば開業セミナーの参加費なども開業費になります。これらの費用は確定申告をすることで5年間にわたり償却(経費処理)するか、もしくは任意償却といって1年で経費処理することもできます。

任意償却については以下のような記載もあります。

『任意償却が可能な繰延資産の未償却残高はいつでも償却費として必要経費に算入することができます。繰延資産(開業費)の償却費の計算については、60か月の均等償却又は任意償却のいずれかの方法によることとされています(所得税法施行令第137条第1項第1号、第3項)。任意償却は、繰延資産の額の範囲内の金額を償却費として認めるもので、その下限が設けられていないことから、支出の年に全額償却してもよく、全く償却しなくてもよいと解されます。また、繰延資産となる費用を支出した後60か月を経過した場合に償却費を必要経費に算入できないとする特段の規定はないことから、繰延資産の未償却残高はいつでも償却費として必要経費に算入することができます。なお、支出した開業費の内容及びその開業費の額が過年分において必要経費に算入されていないことを明らかにしておく必要があります。』 (国税庁ホームページ)

あまり利益がでない開業1年目には全く償却せずに、経営が順調になり利益が大きくなってきてから一括で経費処理することもできるという解釈ができます。このあたりは専門の税理士に確認してください。


開業日によって変わる「開業費」

税務署に提出する個人事業の開廃業等届出書に記載する年月日が開業日となり、通常は診療開始日とすることが多いと思います。その日以降の支出は「開業費」ではなく「通常の必要経費」となります。

『開業費はいつの分からいれられるのか?』、とご質問をいただきますが、これは実際に開業を考え、その為の特別な支出をした日からとなります。ただし、開業前に使ったお金がすべて開業費になるわけではありません。

開業費はあくまでも開業のための特別な支出ということですから、現在の仕事のための支出(勤務医としての学会参加や現在の仕事上必要な書籍の購入など)は含まれません。また、同じ開業のための支出であっても診療所を借りるための保証金や内装費用、診療所建設のための土地の購入や建物代金、一組10万円を超えるパソコンなどは開業費には含まれず、別の処理をすることになります。

 

 

メモと領収書の重要性を知っておこう

実際に開業の準備のための支出であっても領収証のないものは認められません。
領収証があっても、それが開業準備のための支出かどうか不明瞭なケースもあります。 例えば飲食店の領収証だけでは家族で食事をしたのか開業準備のために業者さんと打合せをしたのかわかりません。領収証の裏面やノートなどに『だれと、何の打合せをしたか』等のメモをしておくことが大切です。
また、開業前の支出であっても処理の仕方が異なるものがありますので全ての領収書は保管して税理士に確認してください。

開業の準備に関わる支出は大きいものから細かいものまで多岐にわたります。支出があったら領収証をもらい記録するよう心がけてください。

 

アドバイザー情報


株式会社リスクマネジメント・ラボラトリー
佐久間 洋(サクマ ヒロシ)

(株)アール・エー・システムズ(現シスメックスRA(株))ソニー生命保険(株)を経て、株式会社リスクマネジメント・ラボラトリーの事業拡大に参画。大阪支店の立ち上げに従事し、現在は同社の首都圏担当。セミナー活動も数多く行っており、医師協同組合向け医業経営セミナー、大手損害保険会社社員研修など多岐にわたる。
社団法人日本医業経営コンサルタント協会 認定登録医業経営コンサルタント(No.6466)。

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