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神田 秀昭
アロマスター株式会社 代表取締役

医療ホスピタリティとしてのアロマの活用
(2)医療機関へアロマを導入するコツと注意点

今回は、クリニックにおける待合室・診療室の環境整備~医療ホスピタリティとしてアロマを取り入れる具体的な方法、コツ、注意点をご説明します。
 

院内に漂わせる精油(エッセンシャルオイル)は、純度100%で天然のものを

まず、アロマセラピーで使用する精油についてご説明いたします。精油(エッセンシャルオイル)は芳香植物の花、葉、茎、種子、果皮などから抽出した芳香性の液体です。

おもな抽出方法は、次の二つです。

一つは水蒸気蒸留法といって、原料となる植物を入れた蒸留釜に水蒸気を送り蒸発した香り成分を冷却することにより抽出します。大半の精油は、この水蒸気蒸留法で抽出されます。

もう一つは圧搾法といって、オレンジやグレープフルーツ、レモンなどの柑橘系の精油を採取する際に利用される方法です。圧搾機を用いて柑橘類を圧搾すると精油と果汁の混合物ができます。この精油を分離抽出します。柑橘類の果実の皮をむくと皮から手に液体がじわっとにじみ出ますが、これが精油ですので、まさに果実の皮をむいた時の香りということになります。

アロマセラピーは単に香りを楽しむだけでなく、芳香成分の様々な薬理作用を活用しようとするものです。したがって、あくまで天然・純粋で成分が後から加えられたり、薄められたりしていない、質の高い精油を使うことがとても重要です。日本で流通する精油のほとんどが雑貨扱いですが、化学合成された香料と明確に区別して扱う必要があります。まして、天然志向・自然志向が高まり、化学合成されたモノに対する抵抗が強まる傾向のなか、医療機関としては安全安心な医療環境を整える意味からも、必ず100%天然の精油を使うことが患者さんの安心につながるものと思います。

100%天然の精油を選ぶ基準
・茶色、ブルー、グリーンなどの遮光ビンに入っているもの。精油は光に弱いので変質を避けるため遮光ビンに詰められます。透明ビンに入っているものは、化学合成された香料の場合が多い。
・植物名が学名で明記されている(ラテン語表記による国際的な二名法)
・植物の産地が明記されていること。
・精油を抽出する植物の部位が明記されていること
・抽出方法が明記されていること。

 

香りは、万人受けするクセのない香りを。季節で変化を

香りの好みは十人十色です。嫌いな香り、苦手な香りをかぐことは、心身に強いストレスになります。
個人で香りを楽しむ場合は、自分の好きな香りを選ぶだけですが、クリニックにアロマ(香り)を漂わせる場合は、クセがなく万人に共通して好まれる香りを選ぶ必要があります。一般的にグレープフルーツ、オレンジなどの柑橘系が老若男女問わずに好まれています。また、2~4種類の香りをブレンドすることによって個々の香りのクセが取れて深みのある香りになり、複数の薬理作用の相乗効果も期待できます。

また、季節によって香りをアレンジすることも効果的です。花粉症の時期には鼻の通りをよくするユーカリなど。梅雨のジメジメした時期から夏にかけては清涼感を出すためにペパーミントを。柑橘類の中でも爽やかさが強いレモン、ライムなど。秋は、同じ柑橘類の中でも香りに深みや落ち着きがあるベルガモット、マンダリンなど。

精油の芳香成分は空中に浮遊している病原菌に吸着して活動を阻害する作用があるので、空中に散布することで、風邪のウイルスの増殖を防ぐことができます。冬、風邪が流行る時期には抗菌・抗ウイルス作用が強いティートリーやユーカリなど感染予防に効果のある香りなどのバリエーションを増やすことで、待合室の感染対策につながります。