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井戸 薫
中電興業株式会社 デザイン室 チーフディレクター

医療関連業種の広告イメージを守りつつも周りに負けない野立て看板とは

クリアすべき様々な広告規制

広告が社会に与える影響は極めて大きく、場合によっては公序良俗に反し犯罪を誘引することや、社会秩序を乱す可能性もあるため、広告には種々の法的制約があります。
とくに医療関連業種の広告については、社会的責任の重い業種であるため、医療法や薬事法等によって厳しく規制されているのは周知のことだと思います。
また、広告一般として、表現のあり方自体にも著作権などの規制や肖像権等の問題があり、さらに屋外広告では屋外広告物条例(各地域で異なる)があるなど、各種媒体毎にも法令や自主規制が制定されています。


 

医療関連業種に不適切な色彩とは

こうした法令、自主規制を順守しつつ、広告表現やデザインをまとめることが求められますが、そうした規制とは違った部分でイメージの制約もあると思います。
これは、発信すべき情報の中味ではなく、色彩やレイアウトなどから伝わるイメージについてですが、たとえば、医療関連業種に対しては一般的に多くの人が、漠然とではあるものの「信頼性、知性的、先進的」あるいは、「優しさ、健康的、品位」などの特定のイメージを期待する傾向があり、広告に関しても、そこから大きく乖離すれば医業として大切な信頼感や真面目さが損なわれ、悪いイメージが伝わるなど逆効果になりかねません。

以前某所で、電柱広告の地色にピンクを使った「○○内科医院」の看板を見たことがありました。アメリカではピンクは健康色と考えられているそうですが、日本ではむしろ異なった業種と受け止められる場合もありますので、真面目な医院とは思えませんでした。
目立つことを意識し過ぎて派手な色使いとなったり、暗いイメージ、幼稚なデザイン(幼児医療は別)など医師として品位に欠ける表現とならないよう、自分の好みだけで判断せず、デザインの専門家の意見を聞きながら、客観的な立場から検討する必要があると思います。

 

野立て看板のデザインはロケーションを考慮すべし

広告の中でも野立て看板の場合、周囲の雑然とした風景や、色調に負けまいとする意識の現われだと推測しますが、周囲地域の景観を損なうような不適切な表現も散見されます。これらは、むしろ余白を活かしスッキリと表現した方が、周囲から浮き上がって見えて広告効果が高まり、品位や信頼性も強まるはずです。

ですから、看板周辺の背景や色調など状況(ロケーション)を考慮し、環境に調和しながらも、心地良く惹きつけるデザインの工夫が必要だと思います。
とくに、さまざまなデザインが隣り合って並ぶ集合看板の場合では、隣り合うデザインとの区別化、差別化に留意が必要であり、情報のつながりと情報の切れ目が不明瞭では、屋外広告で重要性な「瞬時の視認性」や「可読性」が確保できず、当然正しい情報伝達はできません。一つ一つの看板面として情報が明確となるようなデザインを心がけたいものです。
その意味で、単純に画面を分割したデザインでは、他のクライアントの情報と混同し、広告効果の低いものになりがちでしょう。

ただし、野立て看板を複数個所に設置する場合、背景が異なるために色やデザインを変えることは、今度はイメージの共通性が失われますので、統一したイメージを残しながら、通行者の目を惹くデザインにまとめる工夫が求められます。
また、野立て看板と電柱広告を併用する場合、両方が共通イメージとなるようなデザインへの配慮も大切だと思います。

※参考画像
Photo-A 雑然とした集合状況では、情報が適切にキャッチし辛い。
Photo-B 整然としていると、景観に良いだけでなく、広告としての視認性も高い。



                    Photo-A                                    Photo-B

 


アドバイザー情報


中電興業株式会社 デザイン室 チーフディレクター
井戸 薫(イド カオル)

愛知県立芸術大学卒業後、各種メーカー等に勤務し、商品開発やアドバタイジングなどデザインの分野一途で従事。

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