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佐久間 洋
 
株式会社リスクマネジメント・ラボラトリー エグゼクティブ・アドバイザー

増患へ導く「患者満足度アップ」のための戦略
(4) 患者の根本ニーズと院長の想いのズレを知る

患者様のニーズを理解するだけでは意味がない!

クリニック経営を長年やっていると、患者様のニーズを理解していても、その思いが患者様に通じていないということが多くみられます。

今回は、患者様の根本ニーズを掴むための「アンケート調査」を元にして、患者満足度を高められたクリニックの事例として、東北地方のあるレディースクリニックを紹介していきます。


内部の人間だと気付けない「内装の汚れ」

このクリニックがあるのは大きな街の中心街のビルの4F。繁華街のビルで10年間成功されているだけに、患者様も多く、インテリアもシックなヨーロッパ調のおしゃれな医院。10年目を迎え、リニューアルを実施することになりました。

確かに素敵なインテリアです。しかし、毎日見慣れている先生や職員さん方では気付くのは難しいものですが、ちょっとした内装の汚れがあるものです。

【こんな汚れ、あなたの医院にもありませんか?】
●受付カウンターの下:患者様が蹴ってしまうので離れて見ると傷が目立つ
●ソファ:穴や傷がある
●壁:一部が手垢で汚れている

患者様は医院をさほど見慣れていませんから、すぐに汚れに気付きます。
クリニック内装の汚れや古さは「新患の視線」で見ることがとても大切です。



 

患者アンケートで判明した、患者と院長との想いのズレ

そこで、このクリニックではリニューアルに際し、患者様の意見を聞いてみようと、アンケートを実施しました。調査対象は新患・再診に分けて各100人。(100人は統計的にほぼ間違いない傾向がわかるといわれる人数)
このアンケートが思わぬ結果を生みました。

 

【院長先生談】
この10年、患者様との会話には注意してきた。いわゆる3分診療にならないよう患者様と十分コミュニケーションをとってきたのが自慢。他のクリニックとの違いでもある、と自信を持っている。

ところが、アンケート結果は予想に反して、院長が最も自信のあった「患者様とのコミュニケーション」が評価されていないばかりか、逆に不足しているという結果に…。
患者様の思いは、院長の想像と違うことが多いのです。

 


 

 

コミュニケーション構築のため「なんでも相談室」を開催

院長は「ショックだが、これが患者様の受け止め方なんだね」と納得し、より深いコミュニケーションを構築するために、土曜日の午後に予約制で15分ずつ「なんでも相談室」を開催するはこびとなりました。

院長先生にとっては、負担になる時間。しかし、10年目を迎えることができ、近くに競合するクリニックも増えている現状を踏まえ、患者様の満足度を上げることが重要であると考えたようです。

相談会には、お母さんが娘さんと二人で来たり、高校生の女の子が友達を誘って来るなど、OLや主婦などさまざまな方が来院されたそうです。「日頃の病気についての詳しい説明」にとどまらず、広範囲に渡り、将来の話までもが話題にのぼったと言います。中には人生相談になってしまう患者様も出現するほど!

結果、口コミで評判が伝わり、新患までもが増えたということでした。

労を惜しまず、患者様の根本ニーズを満たすことが患者満足獲得のコツであり、それが新患獲得にもつながるというわけです。勿論、医院によって状況は違いますので、お忙しいということであれば、期間限定での相談会でもいいでしょう。ぜひ開催を検討してみてください。

患者様のニーズは、案外医院側の思いと異なるもの。その点を踏まえて、的確な打ち手を考えられた医院が成功するのです。


 

 

アドバイザー情報


株式会社リスクマネジメント・ラボラトリー
佐久間 洋(サクマ ヒロシ)

(株)アール・エー・システムズ(現シスメックスRA(株))ソニー生命保険(株)を経て、株式会社リスクマネジメント・ラボラトリーの事業拡大に参画。大阪支店の立ち上げに従事し、現在は同社の首都圏担当。セミナー活動も数多く行っており、医師協同組合向け医業経営セミナー、大手損害保険会社社員研修など多岐にわたる。
社団法人日本医業経営コンサルタント協会 認定登録医業経営コンサルタント(No.6466)。

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