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佐久間 洋
 
株式会社リスクマネジメント・ラボラトリー エグゼクティブ・アドバイザー

増患へ導く「患者満足度アップ」のための戦略
(3) 患者の根本ニーズをおさえた6つの約束事

あらゆるニーズの根本はひとつ

前回は、ターゲットの明確な絞り込みがの重要性についてご紹介していきました。次に考えていただきたいのは、ターゲットとなる患者様の「ニーズ」についてです。

「長い時間待たせれたくない」、「早く治してほしい」、「安く診てほしい」、
「痛くないようにしてほしい」、「わかりやすい説明が聞きたい」、
「ベストな治療を受けたい」、「こちらの言うことを聞いてほしい」、
「治療費の明細を知りたい」

患者様のニーズにも色々あります。
しかし、そのベースにはあるひとつの「根本的なニーズ」があるものです。 それは「患者として先生と1:1の関係で診療してほしい」ということ。

皆さんの医院ではどうでしょうか? たとえば1日50人の外来患者に対し、一人の患者様を50分の1という接し方をしていないでしょうか? 100人なら100分の1になっていないでしょうか? いまいちど、振り返っていただきたいと思います。

 

ある院長先生が考えた「6つの約束事」


北関東の小さな街にあるとある整形外科クリニックのお話です。

そのクリニックの玄関を入ろうとしたとき、ちょうど院長先生が午前中の最後の患者様(おばあちゃま)を玄関まで見送られているのを拝見しました。見送りに感心し、院長先生に「いつも患者さんを見送られるのですか?」と尋ねると、こんな話を聞かせてくれました。

【院長先生談】
開業から何年間かは、とにかく患者さんが多かった。失礼ながら、患者さんを「さばく」感じで「はい、次の方!」と呼び、診察室に入ってこられる患者さんと目を合わす暇なく治療をし、PCに向かい、また「次の方!」という毎日でした。ところが、近くに整形外科クリニックが開業すると、患者さんがみるみる減少。「これではまずい!」と、スタッフと相談。患者さんにもヒアリング。そして、患者さんへの対応をもっと親切にしようということになりました。下記のような「簡単マニュアル」を作成して、診療に当たっています。

 

1. 患者さんは名前で呼ぶ。

2. 入ってこられたら、まず目を見る。

3. わかっていても、「どうされました?」と聞く。

4. 「それは大変だったね」、「辛かっただろう?」という言葉で、共感を表す。

5. わかりやすい言葉と資料で説明し、治療計画を話す。

6. 最後に、おばあちゃまだけは玄関まで見送り、「お大事に」と言う。


すばらしい6つの約束事ですが、特筆すべきは「6」でしょう。
おじいさんや若者からは見送りがないことへの苦情はなく(もともとニーズがないためと考えられる)、逆に「あの先生は忙しいのに、おばあちゃんを見送っているんだよ。患者思いのいい先生だ」と評判になっているそうです。その結果、半年くらいで患者さんは戻ってきたといいます。「おばあさん達の口コミ効果」が功を奏しました。

また「4」も重要です。共感する言葉で、「ああ、この先生は私のことをわかってくれている」と感じられます。まさに1:1の関係が築けるというわけです。


 

研修の前に今からできることを始めよう

スタッフの接遇・接客研修も大切です。しかし、それ以前に、患者様と1:1で接するという心を忘れていないか、考えてみてください。その心さえあれば、自然体で患者様に喜んでもらえます。

患者様は、病というストレスを抱えながら、治癒のために、先生やスタッフと1:1の関係を望んで来院します。是非その視点を心に刻んで、会話・対応を心がけてみてください。それが患者ニーズを語るときの土台です。


 

アドバイザー情報


株式会社リスクマネジメント・ラボラトリー
佐久間 洋(サクマ ヒロシ)

(株)アール・エー・システムズ(現シスメックスRA(株))ソニー生命保険(株)を経て、株式会社リスクマネジメント・ラボラトリーの事業拡大に参画。大阪支店の立ち上げに従事し、現在は同社の首都圏担当。セミナー活動も数多く行っており、医師協同組合向け医業経営セミナー、大手損害保険会社社員研修など多岐にわたる。
社団法人日本医業経営コンサルタント協会 認定登録医業経営コンサルタント(No.6466)。

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