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三浦 正浩
株式会社メディファ

後継者を他人に譲る「第三者継承」成功への道
(5)第三者継承のメリット・デメリット Part4

「生き継承」事例に学ぶ

前回のコラムでは「死に継承」の事例を紹介しましたが、今回は「生き継承」の事例について取上げていきます。

おさらいですが、「生き継承」とは「まだ実際に診療をしている診療所を引継ぐこと」。患者をそのまま引き継げるというメリットがありますが、それに伴ったデメリットがあることを忘れてはなりません。その実態を理解していただくため、実際にあった2つの事例を元に説明いたします。

今回は1つ目の事例を見ていきます。

◆事例① 年2億4000万を売り上げた医院の継承
立地:東京都内
規模:11床産婦人科・内科医院(分娩含む)
形態:土地建物売却

承継までの流れ

①先代院長が亡くなり、ご子息さんが継承

②しかし、家族内トラブル(遺産相続による、ご兄弟内での軋轢)により、全て清算&分配することを決意
※トラブルの発端原因
「先代が築き上げた診療所の実績や信頼を、そのまま全て自身のものとして取り扱っていくのはおかしい」との不満が兄弟からあがったため。継承した若先生に対し、内科医の兄や姉の夫は歯科医という環境でこのようなトラブルが生じてしまったと考えられる。

③引き継ぐ先生を募集(継承したご子息さんは、勤務医に戻った)
※継承条件
(1)約200坪の土地と4階建築30数年手の診療所の売買(金額は2億2千万円)
(2)什器備品の簿価+αの1000万円
(3)従業員の再雇用

④先生の決定
※先生の経歴
某病院院長の娘さんと結婚。その病院で勤務していました。 しかし、院長との折り合いがあまり良くなく、個人開業を考えていた。 その矢先に本件の案内を、税理士を通して行い、進めていくことに。

⑤ 契約を締結
診療所の土地建物担保、実績、某病院のいくばくかのバックアップもあり、 金融機関より借り入れ可能に(ここまでの事務的業務フローはかなり複雑で大変)

 

 

メリットもあるが、思わぬ事態も!

年2億4千万円もの売り上げを得ていた医院であり、本来はそれに対する「継承権」を主張し、継承権譲渡としてそれなりの金額を要求できます。しかし「精算を急ぎたい」という理由から通常金額よりも低め(そうはいっても総額2億3千万円)でした。

ここまでは滞りはありませんでした。このあとに大変な問題が起こります。

契約後に判明した「建物の不具合」

築30数年。ある程度痛んできておりましたが、現状を生かしたまま、病床を増やす事もあり、リフォームを実施。壁を解体したときに問題が発覚しました。

中からなんと、アスベストが出現したのです!

結果、全面改修となり、予定の倍以上のリフォーム金額が発生。先代院長以外、先生も誰も知らなかったため、継承した先生も「仕方ない」と誰も攻めませんでしたが、本来なら訴訟問題です。

ただ、皮肉にも、これにより古ぼけていた医院のイメージが一新。結果として産婦人科医院のイメージアップに。分娩を取り扱う診療所にとって、医院のイメージはとても重要。口コミも広がり、現在では継承時の分娩件数の倍の件数をこなせる医院にバージョンアップしました。開業当時は余裕もなく、資金ショートと、隣り合わせの綱渡り状態でしたが、今となっては笑い話です。

アドバイザー情報


株式会社メディファ
三浦 正浩(ミウラ マサヒロ)

1988年、日本大学法学部卒業。食品商社を経て、医師の転職紹介・開業支援コンサルタント会社へ転職し、スキルを身に付ける。
2006年7月に株式会社メディファを設立。調剤機器メーカー、保険調剤薬局の顧問として新プロジェクト立ち上げにかかわる。

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