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長渡 和久
株式会社コンパス  代表取締役

一級建築士が見た実例から学ぶ クリニック変革論
(2) 『片付け』の悪いクリニックと収納の考え方について

散らかっている診察室への患者の声

私は患者さんやドクターのクリニックへのご意見やご要望を集めるために、facebookページとmixiの掲示板を運営しているのですが、mixiの掲示板に下記のような投稿がありました。

いつも行っている内科さんですが、診察室が片付いてなくて、散らかっていて、気分が悪いです。 こんなに散らかっている病院で、ちゃんとした診察や処置がしてもらえるのかぁ…って、いつも不安になります。


耳が痛い話ですね。
他の投稿では、先生がそこに住んでるのではないかと思うほどの、汚さと匂いがある診療所もあるとのことでした。

実は、クリニックに行って、このように感じていらっしゃる患者さんは意外と多く、特に患者さんご自身が身の回りの整理整頓をきちんとされている方にとっては、片付けの悪い診察室や処置室や薬局などを見ると、医療の質への不安も感じられたり、中には「気持ち悪い」と感じる方すらおられるようです。

そこで、今回はクリニック(特に診察室)の整理整頓について、「公私の使い分け」と言う視点と、「収納と片付け」と言う2つの視点で『片付け』について書かせていただきます。


 

公私の使い分け

実は、私も片付けが悪い方なのですが、私のお客さんが私の片づけが悪いことを気にされることはありません。
それは、私のお客さんが、私が業務で使っている机のまわりを見ることがないからです。
私のオフィスの机の周りとクリニックの診察室の先生方の机の周りとでは、部屋の性質として、“私的な空間”(お客さんが入らない)と“公的な空間”(お客さんが入る)と言う点で大きな違いがあるのです。

この公私の空間の使い分けについて、意識されていない先生方が意外と多く、特に診察室における患者さんのプライバシーを考慮したつくりにすればするだけ、ドクターが診察室を“私的”に使われる傾向があります。
私は“応接室兼用の社長室(公)”と“普段の業務を行う机(私)”で使い分けているのですが、先生方にも院長室と診察室などで、公私の使い分けを行われることをお勧めしています。

 

収納と片付け

私が既に開業しているクリニックの改装のご相談に行くと、「収納をたくさんつくってください!」とか「収納が一杯だから、もっと収納スペースをつくれませんか?」などのご相談をお聞きすることがよくあります。

ところが、私達が収納を作っても、何年後かには、また足りなくなる…実は、何年も使っていなく、これからも使わないであろうと言う書類やモノが収納の中にたくさん入っていたり、何年分かと思うようなコピー用紙などのストックがあったり…私が行きついた結論は、「使わないものは捨ててください!」と言うことです。

最近、「診察室の整理&片付け」や「受付や薬局まわりの使い勝手の向上」などのご相談を受けることが増えてきたので、インテリアオーガナイザーの方にアドバイスを頂きながらまとめてみると、大切なのは次の二つの視点のようです。

『すぐに使わないものは捨てる』…(a)、
「残すものは適切な収納や置き場所に仕舞う」…(b)

の2つをきちんと組み合わせて整理しないといけないようです。

(a)は「断捨離」(だんしゃり、http://www.yamashitahideko.com)系の考え方、(b)は「近藤典子の収納術」(http://www.hli.jp/profile/profile1.html)系の考え方のような感じです。

どうも、これらが上手に組み合わされないと、モノがどんどん増えて収納する場所が無くなり、使いやすく、きれいに、いつまでも整理された状態に保つことはできないようです。

少し長くなりましたが、ここに書かせていただきました「公私の使い分け」と「収納と片付け」の考えをご参考にしていただきつつ、私どもも、“整理されたきれいなクリニック”、“患者さんに不快感や不信感を持たれないクリニック”…が、増えていくことをサポートさせていただきたいと思います。

 

アドバイザー情報


株式会社コンパス 代表取締役
長渡 和久(ナガト カズヒサ)

神戸芸術工科大学大学院を修了後、内装会社を経て、医療介護専門の建築会社「株式会社コンパス」を設立。
奇をてらわず、使いやすくて、無駄がない設計を行う会社として評価が高い。独自の視点でまとめたクリニックや調剤薬局の設計手法やテナント選びなどに関するセミナーは、ドクターをはじめ、開業コンサルタント等からも強い支持を得ている。

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