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開業時、苦しい経営からの成功事例

[2012.03.16]

ドクターの「内面的な診察」も大事なサービスの一つ

―診療に対するこだわりは何ですか?

例えば、行列のできるラーメン店で、ラーメンやスープを作る人がいつもの親父さんでなかったとき「何か違う」という気がすることがありますよね。これは医院経営にも同じことが言えると思います。どこかレシピが他と違うとか工夫があるからお客さんは並ぶのであって、流行っているクリニックというのは、サービス・専門性などが何か違うんだと思います。なので、これから開業するクリニックは「行列のできるラーメン店」に学んでほしいですね。私も初心に帰って他とどんな違いができるかと、いつも考えるよう心がけています。

たとえば、うちでは、私が学会でいないとき後輩ドクターに任せたりすると、「先生じゃなきゃいいです」と帰ってしまう患者さんがいます。ただ血圧を測って薬を出すだけなんですけどね。前回と同じ風邪薬でも「何かよくならなかった」と言って、もう一回くる方もいます。つまりドクターは、ただ薬を出すだけでなく内面的な診察をしていることがほとんどなんですよ。精神的な安心感ですね。

―内面的な診察と言うと、具体的にはどんなことでしょうか?

帰りがけに「ちょっと注意しましょう、頑張りましょう」と声かけをしてあげるだけで違います。「肩が痛くて眠れない」という時は、「整形外科に行ってください」ではなくて、自分の診れる範囲で診てあげて「何でも相談にのってくれるんだな、この先生は」と言われるようにならないといけないんです。お年寄りに対しても同じ。「孫が風邪引いた、どこそこのお爺さんが怪我をした、あそこのケーキ屋がうまい」なんていう雑談もありますが、これに対してもちゃんと聞いてあげること。世間話を患者さんからしてくるような関係、聞いて上げるということが「この先生でないとダメ」ということに繋がってくるんでしょうね。

あとは、帰り際に言葉をかけること。「もう一度きてください」という声をかければ、意外と患者さんは耳に残っているもので、何かあったときに覚えていてくれてきてくれます。気軽によれるクリニック。そういうところがいいんですよね。

―患者さんと先生との信頼関係が大切なんですね。

そうですね。ただ、一つ気を付けてきたことがあります。ドクターは上から目線なことが多いですが、常に対等な立場で考えていくこと。言葉遣いでも丁寧な言葉を使うことを私は心がけています。高校生でも敬語と丁寧語を必ず使いますよ。年齢や経済的・知識的なもので差別して接しないこと。それは一貫したほうがいいですね。

中には、「風邪引いたんだけどなんとかしてくれよ!」と横柄な態度の方もいますが、こちらがしっかり丁寧な対応をすれば、自然とそういうのも消えていきます。なれなれしい言葉と話しやすい言葉は、違うものなんですよ。長い目で見ると患者さんも馴れ合いになっていきます。最終的には、ドクターと患者さんというものをわきまえながら接していくことが大切なんですよね。


目先の利益に走らず、地道な診療と営業活動を!

―医院経営を成功に導くポイントは何ですか?

私も最初は正直心配になりましたが、いくら経営が苦しくても慌ててはいけないと思うんです。目先の利益に走って過剰な診療・検査・必要のないことを続けていれば、いつしかどこかに歪がでてきます。一人の患者さんを長く丁寧に診ていけば、自然と患者さんも増えていくものです。そう信じて地道にいくことですかね。

あとは、施設が古いとか新しいとかそいう外面的なものよりも、シーツ・枕カバー・トイレなど細かいところや、看護師さんやドクターの白衣などもきれいにしておくこと、そんなちょっとの心遣い、気遣いの積み重ねが伝わります。『整形外科で汚れたタオルケットを足にかけられると嫌なんですよ』って聞くとああそうか、と気づきますね。そういうアンテナをいつも張っていられるかどうかが気遣いに繋がるのでしょう。

―スタッフさんの教育はどうしていましたか?

特にしていないですよ。診療しているとスタッフがどういう対応しているかは見えないですが、製薬メーカーさんや患者さんも「よくしてもらった」って聞くので、うまくやってくれているのだと思います。それは私がどうしたわけでなく、スタッフ同士が築き上げたんですね。

開業時はドクターもそうですけど3割~4割くらいはスタッフの力が重要です。患者さんと最初に挨拶するのは受付なのでそこでいやな印象を持ってしまったら患者さんはもう来ないですよね。プロ意識がある人たちを選ばないとダメですね。お年寄りに対して、優しい気持ちをもてるかどうかもそのひとつ。うちのスタッフは、手が空いているとお年よりの手を引いて階段の下まで一緒に降りていったりしてくれています。特にうちは4階でバリアフリーもないので、デメリットを感じていましたが上手く行っていますね。