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三浦 正浩
株式会社メディファ

後継者を他人に譲る「第三者継承」成功への道
(4)第三者継承のメリット・デメリット Part3

「死に継承」と「生き継承」の事例に学ぼう

これまでの3回にわたる連載において、「死に継承」と「生き継承」の継承開業のメリットとデメリットを紹介しました。
「死に継承」であれ「生き継承」であれ、人対人の問題や各事案の状況に応じ、交渉が必要となることは共通しています。そのときに備えて、実際にどのようなケースがありうるのか、事案で見ていきましょう。

今回は「死に継承」のとあるケースをご紹介します。

 

 

死に継承の「メリット」と「デメリット」一実例

立地:埼玉県さいたま市

継承までの流れ
①2年前、50歳代の前院長の死に伴い、閉院
                                ↓
②閉院当時、遺族は第三者継承を考えてはいなかった
                                ↓
③月日の経過や門前の薬局の薦めなどにより、医院賃貸を考え医師を募集
                                ↓
④40歳代で同標榜科目の先生が近隣で開業物件を探していた
                                ↓
⑤当物件を案内、両者同意の上、医院賃貸し開業

【メリット】
◆10年前に建て直しをしていたため、比較的きれいな内外装を保っていた。
→ コスト削減:手直しが不要で、内外装コストがかからなかった。
→ 機器の流用:同じ標榜科目の為、多少は古かったが、機器類はそのまま使用できた。
◆収益を上げるような物件ではなかった為、家賃も周辺相場よりも安く設定された
→ コスト削減:ほぼランニングコストのみという典型的な低コスト開業を実現

【デメリット】
◆前院長診療時からの見込みに誤算が生じやすい
          前院長診療状況            見込み           現院長診療結果
患者数      一日平均60名      前院長と同程度     一日平均5名

前院長の診療状況から、引き続き患者が来ると見込んでいましたが、結果は大幅に下回りました。継承にもかかわらず、開院当初は「新規開業」と状況は変わらない状態。運転資金を計画以上に出費してしまい、親族から更なる借り入れが必要となるという最悪の結果を招いてしまいました。

見込みがずれた理由としては、下記の二つが大きく影響しています。
①閉院数年が経ち、既存来ていた患者が方々に拡散していた
②新規開業先の出現により、周辺の医療状況が変化していた


この二つの点は、開業計画の甘さと周辺リサーチの情報不足が露呈したにすぎず、未然に予想することができたはずです。このようなことがないように準備しておけば、借り入れの必要もなかったでしょう。

では、何をしていればよかったのか。その点は次のページで説明します。