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高橋 邦光
株式会社ラカリテ 代表取締役

患者を引き付ける院内設計のポイント
(7)スタッフと患者にやさしい一石二鳥の「環境設備」

設計者との綿密な計画が必要

今回は電気設備、空調換気設備、衛生設備などの設備について知っていただきたい。

まったくの新規開業にせよ、改修の場合にせよ、設計の段階から各種設備についても綿密に計画を練ることが大切だ。金額にも大きな差があるので、設計者と打ち合わせを重ね、よく理解したうえで判断していこう。

その判断のポイントは「患者にとっても、院内スタッフにとっても利便性がある」という点である。では、具体的に見ていこう。

 

安心感を引き出す「電気設備」


クリニックに入った瞬間を想像してほしい。明るくて清潔なイメージを演出できれば、患者は安心して診察を受けることができる。
しかし、薄暗ければ陰気なイメージを感じ、不安をあおられてしまうだろう。長年診療にあたり、老朽化してしまったクリニックの中には薄暗いイメージを感じさせてしまっているケースも少なくない。昔から通っている患者であればさほど感じないかもしれないが、新規の患者は敏感だ。リピーターになる可能性は遠のいてしまう。
今一度、自分のクリニックは問題がないか、客観的に確認してほしい。

電気のスイッチはスタッフが使いやすい場所に設置するのが大前提ではあるが、患者の利便性で考えることも忘れずに。
トイレなどの患者が使用する場所においては人感センサー(人が入ると自動で点灯)を設置するとよいだろう。
メリットは次の二つである。

①暗い場所でスイッチを探す手間が省ける
②自動消灯なので消し忘れも防ぐことができる


患者はもちろんのこと、クリニックにとってもいい設備ということになる。


設計ミスはクレームになりうる「空調設備・換気設備」

診察室などで使用するエコーなど、医療機器によっては熱を発するものがある。「エアコン」の存在はとても重要だ。エアコンは容量ギリギリではなく、少し余裕を持たせて設計するぐらいがいい。

季節に応じた対策も考えておこう。特に、窓に面している部屋では、夏場に気温が上がり、冬場に気温が下がる可能性を事前に察知し、設計の段階で対策を検討しておくべきであろう。特に夏場に患者が使用する場所は要注意。このとき、エアコンがあまり効かないようと、クレームの対象になりやすいのだ。

次に重要なのが「換気」。内視鏡室などでは機械の熱に注意するのは当然のことながら、検査時に臭気がこもらないよう気をつけなければならない。

 

患者満足度に影響するトイレなどの「衛生設備」

手洗器や流し台、トイレなどの水廻りの設備にも心遣いが必要である。意外と忘れがちなのが、ドクターやスタッフが使用する流し台にも電気温水器を設置すること。冬場にとても重宝するだろう。
そして、患者さんが使用する手洗器にも温水設備や自動水栓を設置しておこう。評判がよいはずだ。

特にトイレ対策は患者の満足度に大きく影響するので、注意したいところだ。今は洋風便器が主流であるが、ウォッシュレットは標準装備と考えてほしい。同様に、手摺も必須だ。
スペースに余裕があれば男女別にするのが良いだろう。男女別トイレは、女性の患者に大変喜ばれるので積極的に検討してほしい。また、男性用には小便器を設置することで、万が一何かトイレに不具合が生じた際も対応の幅が広がるので良いだろう。

 

トイレなどに設置したい「非常呼び出しボタン」

トイレ内や処置ベッド廻りに設置をおすすめしたいのが「非常呼び出しボタン」だ。
院内スタッフにとっては、気分が悪くなった患者にもすぐに対応ができるというメリットがある。 そして、患者にとっても安心感につながるものである。

 

アドバイザー情報


 
株式会社ラカリテ 代表取締役
高橋 邦光(タカハシ クニミツ)

英国ニューカッスル大学 経営学部卒業後、中国人民大学に留学し、平成13年10月に株式会社リチェルカーレを設立。
医療施設に特化した設計事務所、医療施設の建築設計監理、内装設計施工を行っており、最近では病院の放射線治療施設の設計施工も数多く手がけている。その後、2016年に株式会社ラカリテを設立。

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