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矢野 厚登
税理士法人ブレインパートナー 代表

クリニック経営でのトラブル対応術
②先生ご自身の苦悩を回避するには?


これまでクリニック創業時に多い労務トラブルなどの対応術を解説してきました。そこで第4回目の今回は開業されたばかりの先生ご自身の苦悩への対処方法について解説していきたいと思います。

開業医=経営者=孤独への対処方法

よく言われることですが、経営者は孤独です。 このことは勤務医の立場でいらっしゃるときには想像つきにくいことでしょう。
これまでと同様に、同じ立場の人間である同僚医師がいる訳でもなく、これまでは部下として周りにいた人間も部下ではなく医院の従業員という立場となります。
雇う人間と雇われる人間に分かれる状況のため、医院内に先生の孤独感を理解してもらえる相手を探すことはできないことでしょう。

そのために、孤独感との戦いを克服する人脈を開業される前から持つことが重要となってきます。その候補として次のような方たちが挙げられます。

① 同じメーカーの電子カルテを導入されている同じ標榜開業医師
② 近年開業された医師会仲間や勤務先病院の先輩同僚
③ 医療人以外の相談相手


また開業された後であれば、医院の経営状況を把握している税理士、労務の相談をされている社会保険労務士などの士業関係なども力強い味方になってくれるはずです。


 

職員への猜疑心への対処方法


ひとたび診療時間が始まってしまうと先生は患者さんへの対応に追われ、受付での患者さんへの接遇状況など職員の勤務状況を確認することはできないことも多くなります。そのような状況では、開業当初の不安や職員をよく知らないことへの心配から職員の能力へ猜疑心が生まれてしまうことも致し方ないことなのかもしれません。

ただ、医院を経営していくうえでその猜疑心をそのままにしていく訳にもいきません。 そこで次のような対処方法をとりましょう。

①職員採用時には試用期間を必ず設けておきましょう。
以前の回でもお話ししましたが、履歴書やわずかな面接時間、さらに適性検査や性格テストを行なったとしても良い人材を見極める事はとても難しい事ですので、このように試用期間を設けておくことは重要です。
また知り合い職員であれば、試用期間を設けないという柔軟な対応もとりましょう。

②開業後一ヶ月くらいに必ず個人面談を行いましょう。
面接時に確認をしたことを、それまでイメージしていたことと実際働いてみたことによる違いや心境や環境の変化を確認することが重要となります。職員の心境や環境の変化の確認だけではなく、先生側の心境などの発信の場としていきましょう。

③最低一ヶ月に一度は全体ミーティングを行いましょう。
常勤職員だけではなく、午前のみ・午後のみのパート職員も勤務時間として召集し、医院の方向性の共通認識を持つことが重要となります。その際に、自医院をとりまく現況だけに留まらず、他の医院や医療業界全体の動向についても触れていき、職員の意識を高める場としましょう。

④『患者アンケート』を開業後一ヶ月から三ヶ月後くらいまでに行ないましょう。
患者アンケートの目的は、患者さんが医院を第三者の視点で客観的に評価してくれることや患者さんの再来院意識などにあります。それだけでなく、先生の目の届いていない職員の接遇状況を確認することや職員の仕事への緊張感継続を最大の目的としていきましょう。


アドバイザー情報


税理士法人ブレインパートナー 代表
矢野 厚登(ヤノ ヒロト)

昭和62年に日本債券信用銀行入社後、監査法人トーマツを経て、平成9年にブレインパートナーを設立。
単に記帳代行業務などだけを請け負うだけではなく、経営者のパートナーとして共に事業のことを真剣に考える関係になるよう心がけています。
著書もいくつかあり、「介護保険と病院経営」「病医院の経営・会計・税務」等を執筆しています。

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