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先代の閉院から8年のブランクでの承継成功事例

[2012.01.13]

井上克彦先生プロフィール
2004年4月に井上医院を開業。開業の8年前までは先代が診療を行っていた。先代引退後すぐには承継せず、大学病院で外科医として勤務。医院は、千葉県市川市、京成国府台駅より徒歩3分、川がひろがる閑静な住宅地にある。

岸部宏一氏プロフィール
医業経営コンサルタント、行政書士。前職の川原経営総合センター勤務時代から、数々の医院開業に携わってきた経験を持つ。井上医院の承継開業時に開業に悩んでいる段階から関わり、集患のサポートまでも行ってきた。井上先生とは今でも年に何度もお会いするほどの絆をもつ。
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経営は素人。8年間のブランクからのスタート

― まずは、井上先生と岸部さんの出会いから教えていただけますか?


井上先生
もともと従兄弟がクリニックモールの企画で岸部さんと知り合い、その時から話を聞いていました。自分が開業するなら岸部さんに依頼したいと前々から思っていましたね。

岸部さん
そうですね。井上先生の従兄弟の方のクリニックモールを私が担当していました。その仕事が終わった後に「今度、従兄弟が開業するからとりあえず来てくれ」と訳もわからず連れて行かれて会ったのが初めてです。

井上先生
開業するなんて初めての経験だから、どこからどう手をつければいいかわからなくて。岸部さんに会うとしても何を話していいのかすらも分からないし、ど素人だったんです。当時は大学病院の外科医だったから、経営のことは何もわからない。しかも、父親が医院を辞めて8年も経っていました。いわば、ゼロからのスタート。いや、むしろ、マイナスからのスタートだったんです。きちんと経営が成り立つのかどうかも不安でした。「やる」、「やらない」を決めてすらいなかったときに会いました。

 


― そこで岸部さんはどのような話をされたのでしょうか?

岸部さん
「やる」「やらない」に関して、私が決めるわけではないので、客観的な立場から「すでに閉院して8年も経っていますから、楽観視はできませんよ」と先生に伝えようと思っていました。でも、先生は思っていた以上にその辺のことをしっかりと気にされていたので、これは余計なことは言わなくても大丈夫だなと思いました。


診療圏調査の結果にも不安が…

岸部さん
不安だったのは「先代が医院を辞めてからの8年間のブランクがあったこと」です。というのも、「新規開業」か「承継」か、どちらとして考えていけばいいのかわからなかったんです。当時は、私自身、このようなケースの経験がなかったので、どちらの方法論でいけばいいのか、悩みましたね。

井上先生
最初は開業するかどうかも分かりませんでしたが、岸部さんが色々と調査をしてくれ、「これはあまり良い条件ではないよ」と……。

岸部さん
そうです。調べれば調べるほど、あまり良くなくて・・・・・。まず、地理の問題。井上医院は川の目の前にありました。川は診療圏が分断される場所。通常、診療圏は円で考えるのですが、ここは半円だったんです。医院開業の教科書的に言うと、良い場所ではないんです。ただ、駅からの人の流れはギリギリのとこであったのと、幸運なことに、たまたま近隣に新しいマンション建設計画があったので、人口が増える見込みがありました。それを足し算すれば、まあ、大丈夫かな、と。あとは、8年前と比べて競合が増えてなかった。だから、8年前に閉院した旧・井上医院もはまだ近隣住民の方には認知されているかな、とも思っていました。

― 先生はそれまでは外科医だったとのことですが、診療科目の違いに不安や葛藤はありませんでしたか?

井上先生
「メスを置くかどうか」の決断には悩みましたね。それまでは、大学病院で外科医でしたから。何とか方法がないかなとは考えていました。

岸部さん
しばらく葛藤があったようですね。