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岸部 宏一
横浜医療法務事務所 代表

診療所開設に際しての許認可手続きとは?
2.公費負担医療等の許認可手続き

公費負担医療など、おさえておきたい許認可

健康保険以外の公費負担医療等を行うのにも、個別の法律の基づく指定を受ける等、診療所で実際に診療をするためにはさまざまな手続が必要となる。

【生活保護指定医療機関】
健康保険法に基づく指定を受けた医療機関のうち、生活保護法に基づく医療扶助を担当する医療機関は、福祉事務所(市町村の福祉部局が兼ねていることが多い)を通じて生活保護法指定医療機関としての指定を都道府県知事に申請し、指定を受ける必要がある。この指定を受けた医療機関は、生活保護法に基づく医療扶助を担当することとなり、医療券で受診する患者に対し国民健康保険法が準用する健康保険法の例により医療扶助(診療)を担当し、都道府県社会保険診療報酬支払基金に対しその費用を請求する。尚、生活保護法に基づく指定を受けた診療所は、院内の見やすい場所に「生活保護法指定医」と表示しなければならない。

【労災指定医療機関】
労働者災害補償保険法(労災保険法)に基づく療養補償給付としての診療を行う医療機関は、労災保険指定医療機関としての指定を当該診療所の所在地を管轄する労働基準監督署経由で都道府県労働局長に申請し、指定を受ける必要がある。
この指定を受けた医療機関は、傷病労働者の診療を行い当該診療に係る診療費を労災保険に請求することができる。


【原爆援護法に基づく指定医療機関】
原爆援護法に基づき被爆者健康手帳の交付を受けた患者(被爆者)の、原爆放射能に起因する疾病に対し医療費を全額国費で給付する「認定疾病医療」を担当する医療機関は、地方厚生局を通じて厚生労働大臣宛に申請し指定を受ける必要がある。尚、被爆者への原爆に起因しない診療については、都道府県知事の指定を受けた被爆者一般疾病医療機関が担当するものとされ、指定を受けようとする医療機関は、地方厚生局を通じて厚生労働大臣宛に申請し指定を受ける必要がある。

【指定自立支援医療機関】
育成医療(身体に障害のある児童に対して行われる生活の能力を得るために必要な医療)、更生医療(身体障害者の自立と社会経済活動への参加の促進を図るため行われる更生のために必要な医療)、精神通院医療(精神障害者に対して当該精神障害者が入院することなく行われる精神障害の医療)は、障害者自立支援法に基づき、都道府県知事の指定を受けた医療機関が担当する。この指定を受けるためには、健康保険法に基づく保険指定医療機関の指定を受けた上で、自立支援医療の種類(育成医療、更生医療、精神通院医療)ごとに、都道府県知事に申請し、指定を受ける必要がある。

【指定居宅サービス事業者(介護保険法)】
健康保険法に基づく保険医療機関としての指定を受けた診療所は、別段の申し出をしない限り、保険医療機関の指定を受けたときに

ⅰ)居宅療養管理指導
ⅱ)訪問看護
ⅲ)訪問リハビリテーション(それぞれ介護予防含む)

の指定をうけたものとみなされる(みなし3事業)。上記以外の介護保険事業を行う際には、別途介護保険法に基づく指定を受ける必要がある。

【診療用エックス線装置備付届出】
診療所に、診療の用に供するエックス線の発生装置を備えたときは、管理者は診療所所在地の都道府県知事に届出なければならない。

許認可手続を円滑にすすめるために


「診療所開設に際しての許認可手続きとは?」として二回にわたり掲載したこれらの行政手続。これらは、原則としてすべてが行政手続法の適用を受ける他、原則として行政書士法に基づく手続代理又は代行の対象となり、医師本人が窓口に出向く場合を除き、行政書士以外が行う事はできない。違反した場合は一年以下の懲役又は百万円以下の罰金の対象となる。
信頼できる行政書士と出会うことも、診療所開設のための重要なポイントと言えるだろう。

アドバイザー情報


横浜医療法務事務所 代表
岸部 宏一(キシベ コウイチ)

1988年中央大学商学部卒。バイエル薬品㈱、民間医療法人事務長、㈱川原経営総合センター医療経営指導部を経て2004年同僚と共に独立。
医業経営コンサルタント/行政書士として医療機関の経営支援と法務実務の傍ら、医療法務分野の第一人者として各種団体等での講演を通じ医療経営についての啓蒙活動を継続している。

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